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地震計の仕組み(当社SD型検出器の特徴)
お問い合わせの多い、当社の 長寿命 電磁フィードバック型加速度・速度検出器 SD-240, SD-240G, SD-112 の動作原理と特徴についてまとめました。
SD型検出器の仕組み
SD型検出器は、地震(地面の揺れ・地動)を計測するために振り子の原理を応用しています。検出器の筐体は設置地点に固定され地動と同一の動きをします。「振り子」は、地動と相対(一緒に動かない)運動するために使用されており、その振り子の相対運動を電気的に変換して取り出すことで、地動を計測しています。
ここで単純な振り子を使ってしまうと、何かの揺れがあるたびに振り子がずっと揺れ続けてしまい地震計測には使えません。そこで振り子の揺れにブレーキを掛けて揺れを止める動きをさせる必要があります。これを制動(ダンピング)と呼びます。
この制動(ダンピング)方法の違いで様々なタイプの地震計が存在するのですが、SD型検出器は「電磁フィードバック方式(速度帰還式)」という方法を使っています。
振り子に取り付けられたコイル#1 が、固定された磁石の磁束内を振動することによって発生する電気信号を検出しています。コイルは2 個並べられて取り付けられ、コイル#1 は収録装置側に設置されているフィードバック増幅器に接続され、増幅された極性を反転した上でコイル#2 に帰還(フィードバック)させます。この働きにより振り子には運動方向と反対の大きな力が働きます。これが制動(ダンピング)になります。制動(ダンピング)により、振り子が揺れ続ける動きを止めています。
上記のようにSD型検出器の内部は、磁石、振り子、コイルから構成されており、電気・電子回路を含んでいません。
SD型検出器(電磁フィードバック方式)の特長として、検出器内部に電気回路を内蔵する必要がないため外部電源が不要で絶縁性能がよいため雷にも強く非常に壊れにくい、電気的ノイズの少ない低ノイズの地震波形が収録できる、設置環境の影響を受けにくい、などがあります。
雷サージへの対策
離れた屋外に設置されている地震計(検出器)と測定ケーブルで繋がれた屋内側の地震収録装置は、どちらかに雷サージが侵入するとお互いに生じた電位差によって機器の故障を引き起こしてしまいます。そこで当社では「SD型検出器」「専用測定ケーブル」「収録装置」の3つの組み合わせで、この故障リスクを減らす仕組みを考案し特許を取得しました。それ以来、雷サージによる当社地震観測システムの故障は激減しています。
SD型検出器の設置実績
SD検出器の故障リスクの低さと、専用測定ケーブルを使った雷サージへの対応により「勝島製作所の地震計は壊れにくい」という業界での評判をいただくまでになりました。
この特徴によって、安定した長期間連続の地震計測を求められるお客様からのご採用が増え、一般的な用途でのご採用はもちろんのこと、ダムの堤体工事前に下部に埋設されたり、また原子力発電所の炉心建設工事前に炉心下に埋設してしまうなど、設置後に二度と地震計の交換できない場所へのご採用も進みました。これら過酷な環境下においても、私たちの地震計は安定した地震計測をご提供し続けています。
長寿命 電磁フィードバック型加速度・速度検出器 SD-240, SD-240G, SD-112