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ミャンマー大地震の観測記録

日本時間 2025年3月28日 15時20分ごろ。ミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大地震が発生しました。
この地震により、多くの方々が被災されましたことに心よりお見舞い申し上げます。日本人の方々を含め被災された全ての方々の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
今回の大地震では、長周期地震動により震源から1000km離れたタイでの被害も報道されましたが、震源地から約4500km離れた勝島製作所(東京都葛飾区)の地震計で、この地震がどう見えたかを確認しました。
(Google Map にて震央からの距離を確認)
弊社では、自社の地震観測装置を使って、建物や地盤の地震観測を行っています。建物内の5箇所に加速度検出器AccuSEIS203を設置して、収録装置AccuSEIS Centoで観測を行っています。
(社内観測略図)
5台の検出器のうち1階振動台基礎は、建物とは切り離された場所に設置されており、建物の揺れに影響されず地盤の揺れを観測できます。
(1階振動台基礎略図)
(振動台基礎加速度検出器 実物の写真)
収録装置AccuSEIS Centoは、地震を検知しなくても常に加速度検出器で観測した揺れを大容量の内蔵SSDに記録しており、SSDの容量の許す限り、過去に遡って地動の波形を確認することができます。(おおむね1年前まで遡ることができます)
USGS(アメリカ地質調査所)のホームページで、地震の発生時刻を確認したところ、日本時間で 2025/03/28 15:20:54 となっていましたので1階振動台基礎の加速度検出器で観測した、その時間を含む40分間の波形記録を確認しました。
(連続(地動)波形 40分間 (10分間の記録を4枚並べたもの) 画像をクリックすると拡大します)
15:43:50あたり(地震発生22分56秒後)から、NSとEWに、それまで無かった周期15秒くらいのゆっくりした揺れが始まっています。
弊社近傍の地震観測点 防災科学技術研究所 Hi-net(高感度地震観測網)江東地点(標高-2994m、掘削長3030mの地下に設置された速度検出器)の記録を確認してみたところ、同じ時間帯から同程度の長周期の揺れが始まっていることが確認できましたので、この揺れは弊社の建物だけで起こったものではありませんでした。おそらくミャンマー大地震の地震波が伝わってきた影響と考えられます。
この揺れの最大加速度値はNS 0.147Gal 、EW 0.146Galでした。ゆっくりした小さな揺れで、体感できるレベルではありませんでした。