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地震とは?(地震の仕組み・地震のメカニズムについて)
当社は地震計を作っている会社ですが、そもそも私どもの機器が計測している「地震」とは何なのか?について簡単にご説明します。
地震とは
地震は地球内部の岩石が破壊されて発生します。破壊が始まった点を震源。その真上の地表を震央といいます。
破壊は震源から始まり面状になります。この領域を震源域といいます。地震波は震源域から伝わってきます。
地球の全表面は、厚さ数十kmある数枚の岩盤で覆われてます。この岩盤を「プレート」と呼びますが、日本付近には、ユーラシアプレート、北アメリカプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートと、4つのプレートが入り組んでいます。このプレートが、ちょっとずつ動いているために、岩盤に「ちから」が掛かりやすい状態になってます。このプレートの影響で、世界的に見ても日本は地震が多い国となっています。岩盤に「ちから」がかかると、ひずみが起こりますが、そのうち、ある点がひずみに耐えられず、破壊が発生します。それが震源になります。この震源から面上に破壊が広がります。この写真のように地表に隆起してきた地層に、地層のズレが見られることがありますが、これが断層というもので、過去の地震の痕跡です。
P波とS波
P波は岩石の伸び縮みの変化が伝わるもので、縦波ともいいます。S波は岩石のずれの変化が伝わるもので、横波ともいいます。この他に地球の表層だけを伝わる表面波があります。
ある地点に設置された地震計は、その場所がどう揺れたかを記録していますので、記録される地震波形は、P波、S波、表面波が組み合わさったものになります。
P波、S波、表面波は、それぞれ伝わるスピードが違います。通常の地震ではまずP波によりガタガタと小刻みに揺れはじめて、その後にS波によりユサユサと大きく揺れ、最後に表面波が伝わってきます。
下の記録波形は、勝島製作所の建物内に置いていた地震計で観測した地震波形です。(地震波形の見方は以前のブログ「地震計で記録される波形」をご参照ください)
一番下が縦方向の成分ですが、まずガタガタと細かい縦揺れが始まって、「8秒後」に横方向のユサユサとした揺れが始まってます。
P波の伝わるスピードは秒速約6〜7kmで、S波の伝わるスピードは秒速3.5〜4.5kmと言われてます。この速度差(ガタガタが始まってからユサユサが始まるまでの時間差)から震源までの距離が概算でわかります。
P波が来てから、S波が来るまでの秒数に大体「6〜8」を掛けた距離が震源までの距離と言われており、これを発見した先生の名前をとって「大森公式」と呼ばれています。ちなみにこの地震ですと、ガタガタからユサユサまでの時間差が8秒でしたので、(6を掛けたら48km、8を掛けたら64kmとなりますので、)震源までの距離は大森公式では48km〜64kmということになります。この地震について気象庁の発表を調べましたら、勝島製作所から約20km離れたところが震央で、震源の深さは60kmとされてましたので、ピタゴラスの定理で計算しますと63.245・・・kmとなり、大森公式に合致する結果となってました。
このように地震計1台で観測したときは、震源までの距離が概算でわかるだけですが、最低3台の地震計で観測した結果があれば、震源の方向、大体の位置まで想定することができるようになります。加えて、揺れ始めた時刻が正確に記録されていれば、震源からの距離がより正確に判断できるようになります。
1地点での地震観測だけ考えると無駄と思われてしまうこともあるのですが、地震観測にとって、記録時刻の正確さというのは極めて重要な要素になります。勝島製作所の地震計(AccuSEISシリーズ)は、同業他社以上にこの部分にこだわったものになっており、当社製品の基本的な考え方として掲げている「使える地震データを確保する」の一つの重要な構成要素となっています。