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震度とは?
地震が起こると気になる「震度」。震度について簡単にご説明します。
同じく地震の大きさを示すマグニチュードについては、「マグニチュードと震度」のページをご参照ください。
リアルタイム地震波形を不定期で公開中 新型 計測震度計 AccuSEIS Lyraの標準機能である、Webブラウザを使っての「パネル表示画面」をYoutubeを使って公開しています。(機材やりくりの関係で、停止することもあります) 「地震計の勝島製作所Youtubeチャンネル」をご覧ください 下のコードをスマホのカメラから読み取ることで、youtubeチャンネルがご覧になれます。 |
震度とは?(しんどとは?)
震度とは、ある場所での地震の大きさの「程度」を表したもので、単純に揺れの大きさだけではなく、その地震が人間の体感や一般的な建物に与える影響がどれくらいの「程度」になるか推定して決められます。
過去には、気象台の職員さんの体感や、周囲の被害状況により、その地域の震度が決められていた時代がありました。しかしこれでは震度の判断に個人差が出てしまう可能性があることや、観測網を細かくできない(気象台や都道府県単位になる)などの問題がありました。
このような問題を解決するため、1996年4月からは「計測震度計」によって自動計算された震度が使われています。現在では、気象庁や防災科研、地方公共団体(都道府県、区市町村)によって設置された震度計が日本全国に整備されており、地震発生時には市町村単位、場所によってはさらに細かい区域での震度も気象庁に集約された上で発表されるようになっています。
体感と震度(たいかんとしんど)
気象庁から、震度(震度階級)ごとの「人の体感・行動」が示されています。
1996年4月以前は、これらの体感や、被害状況から震度が決定されていましたが、現在は震度計により計算された値を震度として扱うようになり、下表にある「人の体感・行動」はその目安となりました。
気象庁HP「気象庁震度階級関連解説表」より
震度階級 | 人の体感・行動 |
0 | 人は揺れを感じないが、地震計には記録される。 |
1 | 屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。 |
2 | 屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。 |
3 | 屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が、目を覚ます。 |
4 | ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。 |
5弱 | 大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。 |
5強 | 大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 |
6弱 | 立っていることが困難になる。 |
6強 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。 |
7 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。 |
地震波形と震度(じしんはけいとしんど)
震度はディジタル収録された地震波形(加速度波形)から計算されますが、その計算は単純なものではありません。震度を求めるために、まず「計測震度」という数値を求める必要がありますが、その手順は以下の通りです。
気象庁HPより抜粋
1. ディジタル加速度記録3成分(水平動2成分、上下動1成分)のそれぞれの フーリエ変換を求める。
2. 地震波の周期による影響を補正するフィルターを掛ける。
3. 逆フーリエ変換を行い、時刻歴の波形にもどす。
4. 得られたフィルター処理済みの3成分の波形をベクトル的に合成をする。
5. ベクトル波形の絶対値がある値 a 以上となる時間の合計を計算したとき、これがちょうど 0.3秒となるような a を求める。
6. 5.で求めたaを、 I = 2 log a + 0.94 により計測震度 I を計算する。計算されたIの少数第3位を四捨五入し、少数第2位を切り捨てたものを計測震度とする。
非常にざっくりいうと、収録された地震波形の中から、一般的な建築物に影響を与える周波数帯の揺れ成分だけを取り出して(「2. フィルターを掛ける」の部分)、その中で、一瞬だけ大きな揺れがあってもそれが建築物を揺らすまではしないので、揺れの中で、規定秒数続いた揺れの大きさを探す(「5. これがちょうど0.3秒となるようなaを求める」の部分)ということになります。これによって求められた計測震度の値から震度を求めます。
気象庁HP「気象庁震度階級表」より抜粋
震度階級 | 計測震度 |
0 | 0.5未満 |
1 | 0.5以上1.5未満 |
2 | 1.5以上2.5未満 |
3 | 2.5以上3.5未満 |
4 | 3.5以上4.5未満 |
5弱 | 4.5以上5.0未満 |
5強 | 5.0以上5.5未満 |
6弱 | 5.5以上6.0未満 |
6強 | 6.0以上6.5未満 |
7 | 6.5以上 |
震度100は存在しない?(しんど100はそんざいしない?)
気象庁によって震度は「7」までしか規程されていません。ときどき「震度8の地震に耐える!」という謳い文句を掲げている製品や「震度100の地震が来たら?」というネット上の記事を見かけますがそれは誤った表記です。震度6強を超える地震はすべて震度7になります。天地がひっくり返るような地震でも震度100はもちろん、震度8にもなりません。
震度の役割(しんどのやくわり)
「大きな地震だった」「小さな地震だったので大丈夫」。地震の後に発表される震度は、多くの方にとってこれらの判断基準になっています。
地震発生直後の、まだ被害状況が見えてない中で、防災関連の初動の基準とされているのも震度です。例えば、震度5強以上の地震があった際には、鉄道会社は設備の目視点検をするという基準を設けていたり、震度4以上の地震があった際にはダムや空港(滑走路)の緊急点検が行われる基準が設けられていたり、震度5程度でガスの供給が自動停止したりと、様々なインフラ関連の施設が震度を基準として防災のための初動活動を決めています。多くのところで、震度は我々の生活に影響を与える基準となっているのです。