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地震計で記録される波形
「おたくの地震計でP波は録れるの?」というご質問をいただくことがあります。一般的には目にされることが少ない、地震計が収録している波形記録についてご説明します。
リアルタイム地震波形を不定期で公開中 新型 計測震度計 AccuSEIS Lyraの標準機能である、Webブラウザを使っての「パネル表示画面」をYoutubeを使って公開しています。(機材やりくりの関係で、停止することもあります) 「地震計の勝島製作所Youtubeチャンネル」をご覧ください |
P波は録れるの?
地震計は、設置されたその場所がどう揺れたかを計測して記録する機器です。震源から、P波はもちろんのことS波や表面波が地震計設置場所まで届いた結果としての「地動(地面の揺れ)」を全て記録しています。ということで、地震計はP波「も」録っています。
3方向を計測
数分間の地震のあいだに、ガタガタとした上下の揺れや、ゆっさゆっさとした横の揺れがあることは皆様も体感でご存知だと思います。これらはP波、S波と呼ばれ、「ガタガタとした上下の揺れが最初にやってきて、あとから横揺れがくる」と言われていますが、実際は大きな横揺れに隠れて気付きにくくなるだけで、上下の揺れも続いています。このような同時に起こっている上下や水平の揺れを全て記録するため、地震計にはX成分、Y成分、Z成分(3方向)を計測する3つの検出素子が入っています。これら3つの計測値を合成演算すれば、その瞬間(一般的には1/100秒ごと)に、地震計が、どの方向にどれだけの加速度を受けていたのかがわかります。
地震波形の向き(極性)
長寿命 電磁フィードバック型加速度計 SD-240-3 を例にご説明します。シルクハットのような形状のカバーの中に、3つの検出素子が入っており、それぞれがX成分、Y成分、Z成分を計測しています。3つの検出素子はそれぞれが直交する形で取り付けられています。検出素子は内部構造を工夫した「振り子」を使っており、計測方向以外の揺れは拾わないような作りになっています。
地震計がX方向に加速度を受けると(推奨はできませんが、矢印の無い方から矢印ある方に向かって「叩く」と同様の加速度が加わると)上側にぴょんと伸びた地震波形が記録されます。逆の方向に加速度を受けると下側にぴょんと伸びた地震波形になります。Y方向とZ方向についても同じで、下図の矢印方向に加速度を受けるとプラス側の地震波形となります。なお、この矢印の向き(極性といいます)は、当社ではこの極性を基本としていますが、メーカーごとに違いがあり全ての地震波形データで同じということではありません。